保育園経営コンサルタント 大嶽の『現場日記』

船井総合研究所で、日本で先駆けて保育業界の経営コンサルティング領域を確立した業界の第一人者が、毎日全国の保育園における経営コンサルティング活動を綴ったブログ

2020年5月6日 11:07 AM

3密を回避する園を目指すという選択肢

保育園 経営コンサルティング

みなさん、こんにちは。船井総研の大嶽です。

 

さて、ウィズコロナが長期化することを前提に考えた場合、各業界で新たなサービスの形やあり方が模索・検討されています。

特にその中でも、「”3密”回避型」のサービスをどう展開するか、実現するかが非常に重要な議論になっています。

 

例えば、ホテルでもチェックイン、チェックアウトのフロントに集中する時間をアプリを活用して混雑状況が常にチェックできるサービスが登場しようとしていたり、飲食店でも同様に各店舗の混雑状況が一目でわかり、混雑しているお店を回避できるようなプラットフォームの開発が進むという話を聞いたりします。

 

これを幼稚園、保育園で置き換えてみるとどうでしょうか?

 

一部の経営者との話をすると、

 

・一クラス当たりの園児数を減らす

・教室や保育室の壁を取り除き、面積を広くする

 

などの検討が始まっているようです。

 

当然ながらウィズコロナの環境下では、地域によって保護者も相当センシティブになるため、自身が通っている園のコロナ対応を見定めていますし、今後は新入園の判断基準にもなりうると思っています。

 

以下の表をご覧ください。

一園当たり人数 学級あたり人数 学級数 学級面積 一人面積 縦の長さ
500 33 15 60 1.98 1.4
450 30 15 60 1.98 1.4
400 33 12 60 1.98 1.4
350 29 12 60 1.98 1.4
300 33 9 60 1.98 1.4
250 28 9 60 1.98 1.4
200 33 6 60 1.98 1.4
150 25 6 60 1.98 1.4
100 33 3 60 1.98 1.4
50 17 3 60 1.98 1.4

 

これは、幼稚園における規模別の学級当たり人数、学級数、学級当たり面積、園児一人当たり面積、子ども同士の距離(ディスタンス)の一般例を出したものです。

幼稚園を例にとった場合、幼稚園の一学級当たりの園児は35人以下が原則であること、満三歳を除き、3学年は原則クラス数は同数、おおよそ学級当たり面積は60㎡前後であるケースが多いこと、保育所の利用者一人当たり面積の1.98㎡を参考にすると、仮に均等に園児を部屋に並ばせた場合、幅は1.4mになり、ソーシャルディスタンスをクリアできません。

 

もちろん、子どもですから、常にきちんと整列もらうことは保育活動上不可能ですが、仮にこれを2.0mにしてもらうとすれば、以下のようになります。

一園当たり人数 クラス人数 クラス数 クラス面積 一人面積 縦の長さ
500 15 34 60 4 2
450 15 30 60 4 2
400 15 27 60 4 2
350 15 24 60 4 2
300 15 20 60 4 2
250 15 17 60 4 2
200 15 14 60 4 2
150 15 10 60 4 2
100 15 7 60 4 2
50 15 4 60 4 2

クラスの人数を見ていただきたいのですが、ソーシャルディスタンスを確保しようと思えば、学級当たり面積を60㎡で固定した場合、一学級当たり園児数を15名にしないとクリアできません。

 

さらに、その場合、必要となる学級数が激増します。

増床でもしない限り、必要となる学級数は確保できませんから、結論から言えば、

 

「現状の学級数に応じた園児数に園児を減らさなければならない」

 

ということです。

例えば、元々園児300人で9クラス(学級)だった園がソーシャルディスタンスを優先し、学級当たり園児数を15名にすると、園児を100~150人程度に減らす必要があるということです。

仮に元々空き部屋があり、それを最大限活用したとしても200人が上限でしょう。

 

つまり、園児数を30~60%に減らさなければならないということです。

 

繰り返しになりますが、子どもが動き回る環境を考えると、上記のようにきっちり計算しても、それ通りにならないことは十分理解していますが、それでも設定保育や朝の活動、給食の時間など、ある程度距離を取れる時間帯も存在しているのもまた事実です。

 

ただ、やはり過去の一般論から言えば、あまりにも非常識な話ですね。。

3年ほどかけて、段階的に募集定員を減らしたとして、収入がいくら減り、人員をどの程度減らす必要があるのか、新制度園の場合、施設型給付で定員区分による単価増を考慮しても、収支差額は半減近くになるでしょう。

 

しかし、ばかげた話に聞こえたとしても、それくらいの判断、決断が迫られている、それくらい新しい文化や習慣が求められているということを認識する必要があります。

 

これまでのように、幼稚園ならば35人学級、場合によってはそれ以上の学級編成をしている園があれば、そのままで果たして良いのか?

 

経営効率が落ちたとしても、不動産に余裕があれば学級数を増やす、もしくは全体の園児を減らし、学級当たり園児数を減らすことで、クラスにゆとりを持たせる必要がないのか、その判断と同時に、経営効率が少しでも落ちないように、保険外収入も含めた事業構造への変化や、無駄なコストの見直し、さらにはリストラをせずに新たな事業展開や多角化を前提とした人的配置や経営方針への切り替え判断も検討する必要があるということです。

 

何度も言いますが、コロナ前と同じ経営をしても問題ないと思っていては絶対にダメです。。。

時代は変化し、新しい時代が到来し、それに伴って新しい文化・習慣が生まれ始めようとしているのです。

 

ではまた。