保育園経営コンサルタント 大嶽の『現場日記』

船井総合研究所で、日本で先駆けて保育業界の経営コンサルティング領域を確立した業界の第一人者が、毎日全国の保育園における経営コンサルティング活動を綴ったブログ

2020年6月15日 10:51 午前

キッズラインのわいせつ問題で感じた重要なこと

保育園 経営コンサルティング

みなさん、こんにちは!

船井総研の大嶽です。

 

さて、キッズラインのシッターによるわいせつ問題が各メディアで取り上げられてます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakanomadoka/20200612-00182683/

 

そもそもキッズラインのようなベビーシッター 、とりわけマッチングプラットフォーム型のベビーシッターはこの数年でかなり増えました。

 

私もこれまで、ベビーシッター事業の事業開発、オペレーション改善、収支改善や事業再生、M&Aなどにもコンサルティングで関わってきた人間なので、このビジネス構造を理解している1人です。

 

さて、このマッチングプラットフォーム型のベビーシッター というのは、この5年くらいで増えてきましたが、それまでのシッター事業モデルとは異なり、

 

・シッターとユーザーを繋ぐCtoC型ビジネス

・シッターは直接雇用ではなくフリーランスやパラレルワーカーが多い

・収益は利用料の一部を手数料で抜く

 

というビジネスモデル特徴を持ち、直接雇用ではない、プラットフォームとしての場の提供という特性からも、利用料を安く提供できる一方で、シッタークオリティ、管理体制、リスクマネジメントなどの企業姿勢こそが重要と同時に懸念点と言われてきました。

 

そして、今回のキッズラインの問題で改めて露呈されたのが、まさにこのようなことです。

 

昨年、日経デュアルさんで私もコメントさせていただきましたが、まさにその内容を指摘させてもらってます。

https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/022000169/030100003/?yclid=YJAD.1592181955.4OV55Tqdcq1DYspDD2esif84z0Rfpv4SG7WljN3mwpxuEkYkdZ4nvoeL3yd4SLouzB5aKHenYaDKjTI-

 

この記事にもあるように、このマッチングプラットフォーム型ベビーシッターは、価格が安いのがユーザーの一番の利用動機になっており、その中で、子どもに合うシッター、安心できるシッターなどを、資格の保有、経験年数、シッター評価、口コミなどを見て選ぶわけです。

 

今回容疑のかかっている男性シッターは口コミも評価も低くない、シッター回数も少なくない、これだけを見れば、決して不安になる材料は少なく、気にする親は男性が女児をシッティングするというくらいでした。(ちなみに私が娘のシッターを依頼するなら男尊女卑と言われようが、絶対に女性シッターを選びます。。)

 

しかし、決してキッズラインが安全対策やリスクマネジメントをこれまで何も対策や改善をしていなかったと言えばそんな事はありません。

HPにも安心安全対策10か条ということで様々な取り組みの記載もあります。https://kidsline.me/about/safety

もちろん、スタートアップ研修も実施し、マニュアルも整備されていました。

それでも立て続けに2回もユーザーの子どもへのわいせつ問題が起きてきまったのです。

 

さて、問題の論点は、

 

「何故このような問題が立て続けに起こったのか?」

 

この一点なわけですが、私はこの1点に問題があると考えています。

 

「労働集約型ビジネスのマッチングプラットフォームモデルの限界」

 

 

これは、どういうことかと言えば、マッチング型プラットフォームモデルは世の中に五万とあり、例えば婚活サイトや出会い系、弁護士ドットコムのようなプロフェッショナル人財マッチング、タイミーやタイムチケットのような仕事マッチングなど様々です。

しかし、どれを見ても、マッチングプラットフォームの特徴は、

 

「登録数が多ければ多いほどスケールするビジネスモデル」

 

ということが分かります。

つまり、10人しか登録していないサイトよりも、1万人登録しているサイトの方がサイト価値が上がり、それによってユーザーが集まり、マッチング件数が増加するのです。

 

これがまさにベビーシッター事業のような労働集約型ビジネスだと何が起こるか??

 

シッターが増えれば増えるほど、本来はクオリティを維持・向上させ、リスクを低下させるための管理コストが上がるわけですから、相当なシステムやマネジメントをしないといけないわけです。

 

キッズラインはHPを調べると、登録シッターは約4500人。

 

これは保育業界で言うと、業界最大手企業よりも多いわけで、資本力も劣る、さらにシッターという原則、サービスが組織ではなく個々に依存しやすい事業ということからも、非常に管理やマネジメントが難しいわけです。

 

キッズラインの本社側の対応や企業姿勢が悪いと指摘するジャーナリストや専門家もいますし、それ自体を否定するつもりもありませんが、それ以上に私はこの、大切なお子様を個人のシッターに預けて、100%安心を保証するべきシッター事業をマッチングプラットフォームで事業展開することがそもそも無理がある、限界があると思っています。

 

とは言うものの、このようなベビーシッターのマッチングプラットフォーム企業は多数ありますし、保育者の雇用、多様な働き方に貢献している事業でもありますので、解決の道を創らねばなりません。

 

そう考えると、改めて大切なのは、

 

1.企業姿勢・理念の浸透・機会創出(直接雇用ではないからこそ重要)

2.人財育成機会・投資の強化(継続的、断層的な研修・トレーニング機会を創る)

3.本社の管理体制の充実(配置人員、SV機能強化、ロイヤリティ向上)

4.登録シッターの審査基準の厳格化(複数面接の実施など)

5.犯罪歴の確実な証明・把握

 

の5点が重要になります。

つまるところ、プラットフォーマーでありながらも、それ以前にベビーシッター会社、保育会社として徹底した品質管理、安全管理のレベルをさらに引き上げる努力が必要ということです。

今回を機に、今後各社が経営改善を図られるでしょうから、是非お願いしたいと思います。

 

そして、今後は、フローレンスのようなより高品質のサービスや、アズママのような地域コミュニティ&共助型の子育てサービスに注目が集まるかもしれませんね。

http://asmama.jp/

 

今回の新型コロナを受けて、在宅保育、ベビーシッターの重要性も高まってきましたので、この変革期に業界全体で品質の向上に努めていかねばならないと思います。

 

 

ではまた。